結婚生活も長くなればなるほどお互いに何も求めないという姿勢になるが、決して別れたい気持ちが無いわけではない。

そんな折に私は愛人契約をしたのは、元秘書課に配属されていた部下だった。
とあるサイトをきっかけに出会った彼女とは数回の食事のあと、

「愛人にして貰えませんか?」

という彼女の一言がきっかけでこういった関係になったのだった。

もう30年近くの今の職場で仕事をしている私は50過ぎにもなる老兵だ。
今更若い子にモテたいなどという気持ちはこれっぽっちもないが、
せめて食事くらいは一緒に出来ればという思いはあった。

妻とはもうしばらくご無沙汰の状態ではあるが、
決して窮屈な生活をしているわけでもない。

長年連れ添った間柄故、これから別れる事など一切考えてもおらず、
時に「彼女を抱きたいな」という衝動にも駆られないのが現状だ。
しかし稀に「不倫がしたい」という衝動に駆られなかったのか?というと嘘になる。
昔ながらの連れの紹介で「シークレットラブ」というサイトに登録したのが事の始まりだった。

何名もの女性が登録しており、
写真やプロフィールを見る限り年齢も若く
中には女優顔負けの女性もいるほどだった。
ちょっとした好奇心から複数の女性にメールして出会ったのが彼女だった。

会社には何百人もの従業員がいるので、全ての社員の顔と名前までは憶えておらず、
彼女が「私もそこで働いていましたよ」と言われるまでは分からなかった。

彼女とは数回の食事を経て、愛人関係に至ったのだが、
最初の食事では彼女の素性はおろか、
どういったきっかけでなぜこういう出会いをしているのか?という事全てがわからなかった。
ただ何気ない会話をして、常に私の聞き役に徹してくれて、
私にとってはとても心地よい時間が過ごせたのだが、
彼女にとっては苦痛だったのかもしれない。

2回目以降から徐々に彼女も話してくれるようになって、
少しずつ打ち解けていっているような気がした。
そこで同じ会社に所属していた事を告げられたのだが・・
既に退社しているという事を知って安堵した。

同じ職場内でだと、何かと噂も広まってしまうだろうからな・・

彼女と話しているとまるで自分も若返ったような気分になれた。
普段だったら落ち着いた店でゆっくりと食事を楽しむのだが、
回数を重ねていくうちに、彼女の趣味に付き合ってみたり、
50過ぎてからサーフィンも始めるくらいにまでアグレッシブになっていった。

彼女には結婚の意思は全くなく、
色んな方と付き合いを重ねていくうちにこういった関係が自分には合っている。と辿り着いたようだった。

まさか元部下が愛人になるとは思ってもみなかったが、
これもまた運命と思えばそうなのだろうか。
出会い系サイトもまだまだ捨てたもんじゃないと思った体験だ。